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「熱中症」とは?

はじめに

体が暑さに慣れていない6月や、急に暑くなる7月から8月にかけて起こりやすい熱中症。これによる死亡事故は毎年多発していますが、正しい知識をもち、適切な予防法と対処の仕方を知っていれば大丈夫です。

熱中症とは

高温環境下や運動などによって体温の調節機能が破綻し、体内の水分や塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れて起こる障害の総称です。炎天下、運動時や作業時に起きやすいですが、屋内などでも発生する危険性があります。

発症メカニズム

成人の場合、1分間に心臓から拍出される血液量は体重の1/13(65kgの体重であれば約5リットル)ですが、運動時には安静時の何倍もの血液が心臓から拍出されます。しかし増加分のほとんどは筋肉や皮膚に分布されます。これは、皮膚に多くの血液を送って体に発生した熱を外気に奪わせ、放散させるためです。汗の蒸発でも体温が低下しますが、その水分の元も血液です。脳への血液量は運動時でも一定に保たれますが、脱水で脳への血流が不充分になると脳症状も出現します。
熱の産生と放熱・発汗のバランスが崩れ、体温が著しく上昇する状態が熱中症です。

発症しやすい条件

スポーツ時の発生は若年者に多く、労働時では30歳代~50歳代で多く、主に炎天下で発生しています。日常生活では、散歩中、海、自転車乗車中、バス停でのバス待ちなどの屋外ほかに、室内での家事、飲酒などでも発症しています。
また、子どもは地面からの照り返しの影響を受けてやすく、高齢者は暑さやのどの渇きを感じにくいため注意が必要です。
<環境条件>高温、多湿、風が弱い、日差しが強い、照り返しが強い。
<身体条件>5才以下の幼児、65才以上の高齢者、肥満者、下痢などで脱水傾向にある人、発熱のある人、睡眠不足の人、暑さに慣れていない人。

気象や高齢社会の影響

真夏日(最高気温が30℃以上の日)や、熱帯夜(夜間の最低気温が25℃以上の日)の日数が多い年ほど熱中症死亡数が多くなり、特に高齢者において多発することがわかっています。高温化現象(ヒートアイランド現象)と高齢社会との関連も、今後の留意すべき健康問題といえます。

重症度分類と症状

熱失神、熱けいれん、熱疲労、熱射病などのわかりにくい言葉によらず、理解しやすくて重症化の予防と早期発見に役立つ分類が用いられるようになりました。(表)
症状の軽いほうから、Ⅰ度、Ⅱ度、Ⅲ度に分けます。約6割がⅠ度で、Ⅲ度は2割ですが、中年以降ではⅢ度の割合が増加するので要注意です。

熱中症の症状と重症度分類
分類 重傷度 症状
Ⅰ度 軽症 ・めまい、失神(「立ちくらみ」という状態で、脳への血流が瞬間的に不充分になったことを示し、“熱失神”と呼ぶこともあります)
・筋肉痛、筋肉の硬直(筋肉の「こむら返り」のことで、その部分の痛みを伴います。発汗に伴う塩分(ナトリウムなど)の欠乏により生じます。これを“熱痙攣”と呼ぶこともあります)
・大量の発汗
Ⅱ度 中等症 ・頭痛、気分の不快、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感(体がぐったりする、力が入らないなどがあり、従来から“熱疲労”と言われていた状態です)
Ⅲ度 重症 意識障害、痙攣、手足の運動障害(呼びかけや刺激への反応がおかしい、体にガクガクとひきつけがある、真直ぐ走れない・歩けないなど)
・高体温(体に触ると熱いという感触です。従来から“熱射病”や“重度の日射病”と言われていたものがこれに相当します)

現場での応急処置

初期対応がたいへん大事です。Ⅰ度の場合は、風通しのよい日陰やクーラーの効いている室内など涼しい場所に移動し、衣服を脱がせ、足を高くして休ませます。露出させた皮膚に水をかけて団扇や扇風機などであおいだり、冷水や氷で太い血管のある首筋、わきの下、脚の付け根、ひざの裏などを冷やします。
また、スポーツドリンクや0.2%食塩水などで水分と塩分を補給します。水と梅干しを差し上げてもよいでしょう。状態が改善しなかったり悪化する場合には病院へ搬送します。
Ⅱ度やⅢ度の場合は、すぐに病院へ搬送します。救急車を待つ間は、体を冷やしましょう。意識がない場合は横向きに寝かせ、吐いたものがのどや気管に詰まらないようにします。

熱中症にならないために

  • 暑い日は無理な運動は避けましょう。
  • 外出時は日陰を選んで歩きましょう。
  • つばの付いた帽子や日傘を利用し、風通しのよい服装に心がけましょう。
  • 外出、運動、作業の前後にはしっかり水分をとりましょう。
  • のどが渇く前から水分を補給しましょう。(軽い脱水状態ではのどの渇きを感じません)
  • 発汗によって失った水分や塩分の補給はこまめに行いましょう。(スポーツドリンクや0.2%の食塩水がいい)
  • 睡眠を十分にとり、深酒などは避け、体調管理に努めましょう。

無理をせず、しっかりと予防を心がけて、楽しく安全な夏を迎えましょう。

熱中症に関するホームページ

●環境省熱中症保健指導マニュアル(熱中症についてPDFファイルで説明)
http://www.env.go.jp/chemi/heat_stroke/manual.html
●環境省熱中症予防情報サイト(暑さ指数など熱中症の関連情報)
http://www.wbgt.env.go.jp/

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