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風邪をひかない(予防・治療)

予防編(風邪をひく前に)

知っているようで知らない、なんとも厄介な病気が風邪なのです。
効果のある予防法やかかってしまったときの治し方、薬の選び方まで、
この冬を賢く健やかに過ごすヒントを紹介します!

1、あなどってはいけない!身近な風邪の正体

一般に「風邪」とは、ウィルスに感染する事で、のどや鼻(上気道)に炎症が起こり、そこから咳、鼻水、のどの痛み、頭痛、発熱、下痢、倦怠感、悪寒など実に多様な症状を引き起こす感染をさします。

風邪はすぐ治ると思って深刻な病気として考える方は少ないかもしれません。しかし実は、風邪と似た症状を起こすウィルスや細菌は、他にもたくさんあり、インフルエンザをはじめ、乳児に多いRSウィルスやマイコプラズマ肺炎、高齢者に増えている肺炎球菌など、なかには重篤化するものもあります。

さらに風邪をひくと、体の免疫システムがウィルスをやっつけようと闘ってくれますが、これは非常にエネルギーを消耗します。つまりこの状態が長引くと風邪は治りかけても、免疫力が低下した状態に。そこに、他の細菌が入り込み肺炎や気管支炎などの二次感染に至ってしまうこともあります。

1週間が経過しても症状が治まらない場合は、いわゆる「こじらせた」状態として、他の病気や二次感染を疑う必要があります。

また血圧や呼吸器、心臓の病気、糖尿病など慢性疾患をもっている場合には、それらが悪化することもあります。たかが風邪だとあなどらずに、徹底して予防に努めましょう。

2、抵抗力の維持は、日頃からの対策が大事

激寒の季節に自分の生活を見直してみるという事は、風邪だけではなく、実は抜本的な健康にもつながっていきます。

風邪のウィルスそのものは年中存在しますが、とりわけ冬の時期に風邪をひきやすくなるのには理由があります。

 ・ウィルスは低温・乾燥した空気を好んで増殖する
 ・乾燥した空気中にウィルスが長時間漂い、口やのどから侵入しやすくなる
 ・気温が低くなると、異物を排除しようとする気管の働きが落ちる
 ・体が冷えると、抵抗力が弱まる

つまり、①ウィルスのいる環境を遠ざけること②体の抵抗力を落とさないことの2つが予防の基本です。部屋を清潔に保ち、保温・加湿(室温20~25℃・湿度40%以上)、うがい・手洗いなど環境面の対策を行いましょう。とくにインフルエンザは、飛沫感染のほか、接触感染する事が多いため、正しい手洗いの習慣をつけるのがポイント。ぬるま湯で手を湿らせてから石鹸を使い、15~30秒以上かけて手指を丁寧にこすり洗いしましょう。また、抵抗力を落とさないためには、やはり日頃の「規則正しい生活」「食事」「睡眠」大切。
わかっているつもりでも、忙しいといい加減になりがち。是非生活を見直してみましょう。

◎ 睡眠…

なるべく22時ごろまでの就寝がおすすめ。免疫力を高めるリンパ球をたくさん作りだす時間帯です。

◎ 食事…

バランスよくさまざまな栄養をとることが大事。免疫細胞を作るのに重要な栄養源はタンパク質。不足すると免疫力が低下します。最初にウィルスや細菌から守ってくれる。のどや鼻の粘膜は、ビタミンによって強くなります。

3、予防の極意は「鼻」にあり!

そのうえで、さらに風邪予防に大きな役割を果たしている「鼻」に注目してみましょう。
鼻には、外気が体内に入ってくる時、その温度を適切にする働きがあります。鼻腔は毛細血管が非常に多いところで、ここで空気を温めて体内に送り込むのです。さらに鼻は粘膜で覆われているため、空気に湿度を与える作用もあります。鼻毛は異物が体内に入り込むのを防ぐ働きをします。これら「加温」「加湿」「異物除去」の作用のある鼻が正常に機能しているかどうかが、実は風邪の予防に非常に重要になるのです。

人間は正常であれば鼻呼吸ですが鼻炎などのトラブルを抱え口呼吸になっている人が年々増えています。口呼吸では、「冷たくて乾燥した汚れた空気」が直接口から入って来る事になり、当然風邪をひきやすくなります。もちろん鼻の治療をする事も大事ですが、マスクをつける事によって「加温」「加湿」「異物除去」の鼻の働きをカバーする事ができます。
鼻の重要な働きを考えた時、マスクの着用は、風邪予防法におおいに有効です。

手洗い方法
【治す編(かかってしまったら…)へ続く】

(構成・文)平沢クリニック 平沢龍登
(参考)パンプキン№299号H28年2月号掲載 友納佳代子

治す編(かかってしまったら…)

風邪をひきやすい生活や環境に気づいたとき、そのまま放置するか、
“サキザキの用心”をしていくか 多忙な毎日だからこそ、挑戦を。

4、風邪は薬では治らない!自己治癒力を引き出そう

風邪の要因となるウィルスは、少なくとも200種類もあるのだとか?その中から感染しているウィルスを特定して直接退治する、という特効薬はありません。「薬局にはあんなにたくさんの風邪薬があるのに?!」と思うかもしれませんが、一般に風邪薬と呼ばれるものは、辛い症状を軽くしたり、抑えたりするもの。あくまで治すのは、自分自身の体なのです。

私達の体内には、異物が侵入した時に、闘って撃退してくれる免疫システムが備わっています。この免疫力を高めて、体が自ら治そうとする力を引き出す事が、風邪を治す何よりもの近道です。
予防編で紹介した対策は、かかってしまってからも有効です。それに加えて、すぐに実践できる治癒のためのポイントをご紹介します。

①水分補給

風邪は体内で炎症が起きている状態ですから必ず発汗があり、“不感蒸泄”といって、自分では感じない汗を大量にかいている事もあります。脱水症状を防ぐだけではなく、水分が不足すると、鼻やのどの粘膜がもつウィルスの侵入を防ぐための働きが低下するので、努めて水分をしっかり取りましょう。特に高熱や嘔吐・下痢の症状がある場合は、失われたナトリウムやカリウム等の電解質を効率よく摂取できる経口補水液がお勧め。「ティースプーン1杯の量を数分おきに」を目安に摂取しましょう。

②体を温める

免疫力と体温の関係はとても深く、体をしっかりと温める事が、免疫機能のアップに繋がります。温めポイントは首の後ろから肩甲骨の間にかけて。東洋医学における風邪は、この周辺にある「風門」というツボから「邪気」が入って起こるといわれ、名前の由来にもなっています。ここをよく温める事で血液の流れが活性化し、免疫力が高まります。
また、冷えが辛く全身を温めたい場合は、ショウガ湯等がお勧め。ショウガの辛み成分ジンゲロールが加熱によってショウガオールに変化。血流を促進する作用により、冷えを改善する効果や免疫力を向上させる効果が期待されます。

5、風邪薬の選び方~西洋薬と漢方薬を上手に使い分ける

風邪を直接退治するのは人間の優れた自然治癒力。そのために必要不可欠な、免疫力・抵抗力を助けるのが“風邪薬”だといえます。西洋薬と漢方とで、その役割の違いを知っておく事で、薬の選び方の目安になります。

風邪の症状のほとんどは、免疫システムが働いている反応として起こっている事です。
例えば、くしゃみや鼻水は、鼻の粘膜についたウィルスを排除しようとして起こる反応。
下痢や嘔吐は、胃や腸からウィルスを追い出そうとする反応。発熱も体がウィルスと闘っている証拠です。そのため「風邪の熱は薬で無理に下げないほうが良い」という考え方が一般的になってきました。これはもともと東洋医学の考え方で、熱を抑えたり、痛みを取り除いたり、症状をピンポイントで抑える「対症療法」の西洋薬に対して、体全体を整え、体本来の機能や免疫を高めて、治癒を助けるのが漢方の働きなのです。

体質や体調、風邪のはじめなのかピークなのか等その人に合ったものを取り入れる事ができ、例えば、寒気がひどい場合は、体を温める作用のあるもの、食欲が落ちているようであれば、食欲増進の効果があるものと併せるなど、バリエーションも豊富です。

一方西洋薬は、症状が辛い時や長引く場合の使用が効果的です。いくら熱は無理に下げない方が良いといっても、我慢できない程の痛みや症状が長引くとかえって体力を消耗し、さらに免疫力が落ちてしまいます。その場合は西洋薬で症状を抑える方が適切です。常備薬も含めて、医師や薬剤師さんに相談しながら、上手に利用しましょう。

マスクの着用方法

(構成・文)平沢クリニック 平沢龍登
(参考)パンプキン№299号H28年2月号掲載 友納佳代子

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